道路防災点検業務

道路防災点検業務

道路防災点検

「道路防災点検」は、豪雨・豪雪等による災害を防止するため、道路法面の安定性等について詳細な点検を行い、さらにその結果を今後の道路防災対策に反映していくためのものです。
点検後の対応策等を記した「防災カルテ」、「箇所別記録表」の作成や点検結果のデータベース化をいたします。


防災点検の流れ

道路防災点検の流れ
道路防災点検の流れ

第1絞込み

「点検対象区間」を選定することを目的として絞り込み(第1絞込み)を実施する。第1絞込みは、管理対象道路の防災レベルを概括的に把握して、安定度調査の
候補箇所を含む区間(点検対象区間)を選定する。具体的には次の①~③のいずれかに該当する区間を選定する。

① 平成8年度点検における要対策箇所のうち対策未了箇所を含む一連の区間
② 平成8年度点検以降に道路災害の発生した箇所及び災害の兆候が認められる箇所を含む一連の区間
③ その他、道路管理者が防災管理上必要と認める箇所を含む一連の区間

なお、点検対象区間の選定にあたっては、過去の災害履歴、点検履歴などに関する資料を参考にするほか、
必要に応じて道路防災ドクター等や専門の点検技術者の意見を聴取する。

第2絞込み

選定された点検対象区間を対象として、危険要因を抽出することにより、安定度調査を実施する必要がある箇所を絞込む(第2絞込み)。
第2絞込みは、「机上調査」(第2絞込み①)と「現地確認」(第2絞込み②)の2つからなる。このうち「机上調査」では、「地域特性の把握」及び「災害要因の判読」を実施する。
「現地確認」は、「安定度調査候補箇所」について「机上調査」により判読した災害要因が現地においても見られるかどうかを確認する

道路防災点検_第2絞込み

安定度調査の実施

安定度調査では、点検箇所の現地を観察し、箇所別記録表と安定度調査表を作成する。
箇所別記録表は、点検箇所の点検対象項目ごとに作成する。箇所別記録表には管理者の名称、路線名、道路種別、所在地などの基本的な情報と点検箇所のスケッチ、
被災履歴、安定度調査結果(総合評価)、想定対策工などを示す。また、スケッチの中に斜面や構造物の状況の概要を記載し、安定度調査を実施する範囲(部分)ごとに部分番号を記載する。
安定度調査は、点検箇所の点検対象項目に従って、該当する調査表を用いて実施する。箇所別記録表で、斜面の部分が複数示されている場合には、部分ごとに作成する。
安定度調査では、調査表に沿って評価点数を求めた上で総合評価を実施する。
総合評価は、安定度調査を実施した箇所が、以下の3項目のいずれに該当するかを示す。

・対策が必要と判断される(要対策)
・防災カルテを作成し対応する(カルテ対応)
・特に新たな対応を必要としない(対策不要)

安定度調査※変状例

道路防災点検 変状例【落石】

【落石】

岩盤の不連続面(岩盤中に発達する節理、片理、層理等の割れ目)が拡大して、岩塊や礫がはく離したり、表層堆積物、火山噴出物、固結度の低い砂礫層の中の岩塊、礫が表面に浮き出して斜面より落下する現象

道路防災点検 変状例【浮石】

【浮石】

岩盤は自然の風雨に触れた部分から岩盤の割れ目に沿って雨水や粘土が流入していく風化作用を受ける。
この作用が長い時間を経て、割れ目が徐々に開いていき、基盤から遊離・脱落しそうに不安定状態で残った岩石をいう。

道路防災点検 変状例【転石】

【転石】

基盤の岩石から遊離・脱落した岩石が、流水などに押しながされたり、山の斜面を転がり落ちたり、崖下などに転落している岩石をいう。

道路防災点検 変状例【崩壊跡】

【崩壊跡】

斜面において、自然(雨・風等)作用および人工(斜面掘削・伐採等)作用を受けて、自然および人工斜面の自重を安定した状態で保持できない時、斜面が崩れ落ちて(崩落)しまう。この崩れ落ちた状態の斜面をいう。

道路防災点検 変状例【滑落崖】

【滑落崖】

斜面において、基盤となる岩盤が自然作用を受けて岩盤の割れ目沿いに滑り落ちてしまう。この滑り落ちた状態が険しく切り立った崖状のところをいう。

道路防災点検 変状例【亀裂開口】

【亀裂開口】

露岩及び対策施設が何らかの原因にて亀裂が入っている。
※今後の変状を確認する為、鋲を打ち鋲間を計測

取り纏め調書

道路防災点検箇所別記録表

【箇所別記録表】

各点検箇所について、管理機関名、施設管理番号、路線名、位置情報等を記入し、必要なスケッチ等を行う。また、安定度調査表の項目に無い事項に関しては、特記事項の所見の欄に具体的に記述する。

道路防災点検安定度調査表

【安定度調査表】

点検対象項目ごとの「安定度調査表」の記入は、該当するチェック項目に○印を付け、評点等の数字を記入した上で[要因]、[対策工]、[履歴]等の合計の欄を埋めるものとする。
さらに、[総合評価]として、現地状況を総合的に勘案して、対策の必要性等を判断し、該当欄に○印を付す。
ただし、現地で既設対策工の有効性の判断ができない場合は、設計計算結果から、総合評価の判断をしてもよい。
また、「安定度調査表」では、状況を十分に記録することができない詳細な現地状況については、「箇所別記録表」や「防災カルテ」に記録する。
総合評価は、次に示す3段階で評価する。

□対策が必要と判断される :災害に至る可能性のある要因が、明らかに認められる箇所
□防災カルテを作成し対応する :将来的には対策が必要となる場合が想定されるものの、当面「防災カルテ」による監視等で管理していく箇所。
□特に新たな対応を必要としない :災害の要因となるものが発見されず、特に新たな対応を必要としない箇所。

道路防災点検被災履歴記録表

【被災履歴記録表】

資料調査により平成8年度点検以降の災害記録がある箇所では、その収集資料より転写や複写により被災履歴記録表を作成する。なお、当記録表に記載しきれない図表や事項については、別紙に表してもよい。

  • 平面図・断面図・スケッチ/現況写真・対策工概要図
  • 特記事項(発生年月日、規模、誘因、被害、通行止実績、対策工施工年度、対策工種、対策工費、その他)

道路防災点検防災カルテ

【防災カルテ】

防災カルテは、防災カルテ様式A、防災カルテB、防災カルテC、着目すべき変状のチェックリストから構成される。